カニ殻の20%〜35%がキチン質 |
「キチン・キトサン」とはどういう物質なのでしょうか。
この分野の世界的権威者であった鳥取大学名誉教授の故平野茂博氏は、 次のように述べておられました。 |
キチン質の特性 |
キチン質は、生体高分子(多糖類)で、カニやエビなど甲殻類、 カブトムシなど昆虫の表皮、イカ・貝など軟体動物の器官、キノコなど 菌類の細胞壁など、地球上に広く分布している。 現在使われているキチン質の主な原料は、水産加工工場から廃棄される
カニ殻やエビ殻である。
カニ殻は、キチン質・タンパク質・炭酸カルシウムという3成分で、 構成されている。 |
キチン・キトサンの作り方 |
まず、カニ殻を希アルカリ溶液に漬けるとタンパク質が除かれ、続いて希酸溶液に漬けると炭酸カルシウムが除かれ、その不溶の残渣(残った物質) が「キチン」である(これは全体の20〜35%ほど)。
このキチンを、80〜120℃に熱したあと、さらに濃いアルカリの中で、 4〜5時間処理すると「キトサン」が精製される。
キトサンは希有機酸(酢酸=酢など)に溶けるが、キチンは溶けない。 このキチンとキトサンを総称して「キチン質」という。 |
キチン・キトサンの生産の現状 |
キチン・キトサンの生産の状況について、簡単に触れておきましょう。 日本では、先に述べたように原料は水産加工工場から廃棄されるカニ殻 (一部はエビ殻)が使われ、現在は15〜20の企業が製造しています。 地球上で、1年間に生物がつくり出すキチン・キトサンの量は約1,000億トンといわれますが、日本における生産量は年間約2,000トンです。 このうち健康食品に使用されるキチン質は約5%程度です。
一方、最近はアメリカ、中国、ポーランド、韓国、タイ、インドなど 世界の各地で生産が盛んです。 |
『漢方医薬新聞』より抜粋 |